ABOUT

  

私たちは…、 

私たちは、日本在住のオイリュトミストです。
オイリュトミー芸術の実践の一つとして、日本初のオーケストラとの共演によるオイリュトミー公演の実現を目指しています。

 芸術は人間の根幹にとって必要不可欠であるという信念のもと、「にもかかわらず」生きる人間の姿を、舞台芸術であるオイリュトミーを通して芸術表現へと昇華していけますように。




   ‖沿革‖

2020.11.3●オーケストラオイリュトミーの体験

〜コロナ禍により長期休暇中の全体練習延期

2021年4. ●設立準備会発足

2021.8.21●設立総会(Web)開催 

     プロジェクト発足

2021.11   ●全体練習再開


にもオーケストラ
オイリュトミープロジェクトとは  

 

それは一つの問いへの答えから始まりました。

「あなたの夢は何ですか?」


…それは…

「この日本の地で、交響曲をオイリュトミーで行うこと!」


 交響曲を奏でるオーケストラにおいては、それぞれ全く違った特徴を持つ楽器が、互いにその違いを受け入れ活かし合いながら、一つの歌を協働作業を通して創り上げています。そこには、多種多様な困難や違い「にもかかわらず」生きていこうともがく人間の理想があるのではないでしょうか。

 

 ヨーロッパやアメリカ、日本で修業をつんだオイリュトミスト26人は、それぞれの「にもかかわらず」を背負いながらも、2020年11月3日、ドヴォルザークの「新世界より」という大きな船に乗り、夢への一歩を踏み出しました。


現在、2023年夏の公演を皮切りに2024年まで複数の上演実現を目標に準備しています。

オーケストラオイリュトミーとは


 オイリュトミー(*1)は「見える『歌』としての身体芸術」という、短い言葉で表すことが出来るが、その歌とは、通常私たちが意味する『歌』ではない。音楽に合わせて踊るダンスでもない。いうならば、音楽を演奏家が奏でる時、自ずと演奏家と観客の胸のうちに沸き上がる魂の高まりや静まり、音楽体験そのものを、動きとして表現するものが、オイリュトミーだと言える。


そしてその動きそのものは、気持ちの赴くままに動くというわけではなく、音楽家が自分の楽器を奏でるように、自分の体を楽器として扱うことによって生まれる。


それぞれの音やインターバル(音程)のジェスチャー(仕草)が決まっており、短い音か長い音かによっても表現は違ってくる。音の強弱は勿論の事、その曲は、その和音は短調なのか、長調なのか、どのようなフレージングがあり、それぞれのフレーズがどのような関係性を持ち、どのような過程を通って曲の終わりにたどり着くのか、私たちは体を楽器として奏でながら、音楽体験そのものの、(ーそれは魂の歌そのもの、ともいえるがー)器になろうとしている。それが、音のオイリュトミーと呼ばれるものだ。


 そういう意味で、オーケストラオイリュトミーとは、と問われたならば、交響曲とは、と問われることとほぼ同じように感じる。とはいえ、一人のオイリュトミストではオーケストラが奏でる歌は歌えない。そこで、オーケストラにはそれぞれの楽器があるように、オーケストラオイリュトミー(シンフォニックオイリュトミー)では、オイリュトミストがそれぞれの楽器の歌を担当し、群舞で動くことになる。


しかし、例えば60人ものオイリュトミストが動けるだけの舞台はそうそうないので、バイオリンは、第一と、第二と合わせて3人だったり、フルートはその音の性質からも1人で担当したり、ホルンはその暖かで張りのある響きから、2人体制を組み左右対称の動きをすることも多い。


 オーケストラの醍醐味が多様性の受容とその調和だとするならば、オーケストラオイリュトミーの場合もまさにそれそのものだ。それぞれの楽器の特徴がーそれぞれの歌がー存分に活かされた上で、一つの大きな調和を成している。そこには、理想的な社会の在り方を見出すことも出来る。それぞれの違いを認めながら、共にこの地球上で平和に生きることが出来る社会だ。


 そしてルドルフ・シュタイナー(*2)は、オーケストラに一つの有機体としての人間の姿を見た。


私たちの肉体もまた、頭や胸、手足などがそれぞれの特徴や働きを持ちながらも、調和のうちに動くことで、生命を全うする。そして人間の中で働くそれぞれの肉体以外の働きである思考や感情、意志もまた、オーケストラの中に見て取れると言う。つまり、木管楽器は音楽が頭を通して体験されることを、弦楽器は胸を通して体験され、腕の中で表現されるものを、そして打楽器は、意志の象徴、四肢を通して音楽が生きることを表現していると説明している。


 (ピアニストで指揮者の)ダニエル・バレンボイムは、音楽はあらゆる異分子を調和へと導く希望の礎だと言っている。

それぞれの声を聞き合い、理解し合い、一つの音の為に全員が心を寄せ、全員の音を一つの声にすることが出来るのは、オーケストラなのだと思う。オーケストラが奏でる魂の歌を、オイリュトミストも動きの中で共に歌い、一つの歌になれたら、と強く願っている。

                                            

2021年5月小林裕子

---*1 オイリュトミー

ギリシア語で「美しく調和のとれたリズム」という意味を持つ。20世紀の初めにルドルフ・シュタイナーの世界観・人間観に基づき、今日の人間本質に相応しい、新しい「舞踊芸術」として誕生した。

「見えるうた、見えることば」とも呼ばれる。日本には1980年代初めに紹介され、現在では、舞台芸術、治療の分野のみならず、「学校教育におけるパートナーとして」「社会・職場での『共働』に向けて」取り組まれている。

---*2 ルドルフ・シュタイナー(Rudolf Steiner)

ドイツの思想家。1861年オーストリアのクラリェヴェックに生まれる。その深い人間洞察に基づいた人間観・世界観であるアントロポゾフィーは、教育・医学・芸術のみならず、農業や建築、社会論などの分野でも大きな影響を与え、その業績は高く評価されている。生涯34の著作と約6000回の講演を残し、1925年スイス・ドルナッハにて没。