G線上のアリアに寄せて
秋が深まり夕闇がせまり、アドウェント(待降節)の準備を始めるころになると、いつもきまって取り組みたくなる音楽作品があります。その一つがJ.S.バッハの ”アリア”です。
2020年イタリアで始まったコロナウイルスが世界中に猛威をふるい、日本でも学校が休校になったり在宅勤務やステイホームが求められていたり、これからどうなって行くのか全くわからない状況の時も、やはり心の中に浮かんできたのは、J.S.バッハの ”アリア”でした。
”アリア”を聴くと、闇の中はるか彼方からやって来る光とその道行、そして、その光を受け入れる聖母マリアの姿が心に浮かびます。
”アリア”のメロディに祈りをこめて、闇の中に光が生まれてくることを願いつつ、オイリュトミーの練習をすることが、その頃の私にとって大事な時間となりました。メロディの響きの中に、青い色や、様々なリラ、紫、かすかな光と暗く熱い赤紫の色合いの変化を感じて動いていました。
そして、今年の春には、ドロテアさんに観ていただける機会をいただき、”アリア”がD-Dur (ニ長調)で作曲されていること、Dの音のもつ本質を宇宙とのつながりの中で教えていただくことができました。『光の誕生』と『大天使ガブリエルから公示され、それを受け入れる聖母マリアの心情』をより深く感じられるようになりました。はてしなく続く”アリア”への取り組みですが、皆さまにそして世界に光が生まれますことを祈りつつ、今できる精一杯のアリアを届けたいと思います。
J.S.バッハの”アリア”のオイリュトミーフォルム(※1) は、1923年5月31日にドルナッハでR.シュタイナー博士から与えられました。衣装は、(オレンジ)黄色のオイリュトミードレスとリラのシュライアー。照明は、完全な青で始まります。それに下から赤が加わっていきます。そして後半になって上から白、下から黄色が加わり、最後には白がすべてに加わります。闇から、熱を得てだんだんと光に満たされていく照明になっています。
今回の公演では照明はほとんどないのですが、オイリュトミーの動きの中に少しでもそれを感じていただけたら幸いです。
さて、 ”G線上のアリア”という名前が有名ですが、この曲は、J.S.バッハの『管弦楽組曲第3番ニ長調BWV1068の第2曲アリア』を、ドイツのアウグスト•ヴィルヘルミ(1845.9.21~1908.1.22)が編曲したものです。ヴァイオリンの1番低いG線だけを使って独奏できるようにしたもので、そこから”G線上のアリア”と呼ばれるようになりました。
アウグスト•ヴィルヘルミは、ドイツ ウージンゲン生まれのヴァイオリン奏者です。
1861年にリストの推薦でライプツィヒ音楽院に入り、65年からはヨーロッパ各地を演奏旅行、1976年バイロイト祝祭劇場のこけら落としでコンサートマスターを務めたそうです。1894年にはギルドホール音楽学校の先生となり教則本やヴァイオリンのための作品や多くの編曲をしました。その中でもヴァイオリンのポピュラーな名曲となったのが”G線上のアリア”です。
教会音楽をつくりつづけたJ.S.バッハの”アリア”は、心を深く落ち着かせるような低音の進行の上を清らかで美しい弦の調べが流れていきます。はるか彼方からくる清らかな光に祈りを捧げたくなります。ヴィルヘルミもこの”アリア”をヴァイオリンで演奏したくなったのでしょうね。美しい清らかな旋律とそこに秘められた響きは多くの人々の心に伝えられ、人々の心に光を灯していると思います。(文責C.Y)
(※1)シュタイナーフォルム
オイリュトミーをどう動くかが、線で記されてある図のこと。シュタイナー自身が示唆を与えたもの。
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